岡山・島根ドライブ 荒神谷遺跡
昭和58年(1983)、広域農道建設の事前調査の際、調査員が土器のかけらを拾います。
そばに三宝荒神があることから、荒神谷遺跡(こうじんだにいせき)と名付けられました。これが大発見のきっかけです。
昭和59年(1984)に発掘調査が始まると、それまでに全国でみつかっていた数を上回る358本の銅剣がまとめて発見されました。
出土した銅剣は保存状態が悪く、ガーゼで覆い接着剤で固めながら一本ずつ丁寧に取り上げられました。
翌年、まだ近くに青銅器が埋まっていないか確認するため、周辺の地下レーダー探査を行いました。
その成果を基に発掘すると、銅剣出土地から約7M東の地点に銅矛16本、銅鐸6個が埋められていました。
合計380個もの青銅器が発見されたのです。
これほど多量の青銅器を埋めた事例は他になく、荒神谷遺跡の発掘は世紀の大発見となりました。
これら銅剣・銅矛・銅鐸は祭祀具であり、ここは出雲地域に住む弥生人の祈りの場と推測できます。
弥生人は貴重な金属を武器ではなく、祭祀具に作り変えて使ったのです。
多量の青銅器を使い何を祈ったのか。これらを集めた集団は、どんな勢力なのか。多
くの謎を秘めた荒神谷遺跡は、考古学ブームを巻き起こし、今なお研究が続けられています。
荒神谷史跡公園では、青銅器出土地の発見当時の状況を再現しています。

・古代ハス
1951年(昭和26)、千葉県検見川で3粒のハスの種子が丸木舟といっしょに発見されました。
この種子の1粒が大賀一郎博士(岡山県出身)の手によって発芽しました。
長い眠りの続け、開花を遂げたハスの花は、奇跡の花と呼ばれました。
荒神谷史跡公園のハスは、のちに博士から島根県大田市へ贈られたものを、1988年(昭和63)4月に、15株譲り受け育てたもので、
「古代ハス」(正式名称は「大賀ハス」)と呼んでいます。
古代ハスの種子は、博士の研究では二千年前のものと推定されていましたが、
アメリカの原子力研究所による放射性炭素の測定から三千年前のものだという説もでています。
ハスは早朝から咲き始め、午後には閉じてしまいます。
花の開閉を3日間繰り返し、4日目の朝には完全に開ききり、花びらが散り始めます。

・荒神谷遺跡発見発掘の地
昭和58年(1983)4月11日、この地に広域農道をつくるために遺跡の分布調査を実施しました。
その時にここで一片の土器を拾いました。
調べてみると古墳時代から奈良時代にかけての須恵器(すえき)とわかり、このあたりに集落があるのでははいかと推測されました。
翌年、周辺の発掘調査を行ったところ南方の斜面等から青銅器が大量に発見されたのです。

・荒神谷遺跡発掘再現
昭和58年(1983)、このあたりに計画された広域農道の建設に先立ち、周辺に遺跡がないかを調べる分布調査が行われました。
その際、調査員が一片の土器を拾ったことから、この一帯が遺跡であることが分かりました。
近くに「三宝荒神」が祀られていたことから、この遺跡は「荒神谷遺跡」と命名されました。
昭和59年(1984)の7月から、本格的な発掘調査が開始されました。谷の斜面を慎重に掘り進めると、金属のようなものがみつかりました。
「青銅器かな?」「まさか!」と調査員は思いましたが、それらは複数の銅剣であることが分かりました。
調査を進めるにつれて、その数はどんどん増え、最終的には 358本 の銅剣が発見されました。
当時、全国でみつかっていた銅剣を全て合わせても300本余りだったので、1か所からみつかったものとしては驚くべき本数でした。
「まだあるのではないか」。
昭和60年(1985)7月、銅剣出土地の周辺をレーダーなどで調査したところ、銅剣の東側7mのあたりで反応がありました。
その場所を発掘すると、今度はなんと 6個の銅鐸 と 16本の銅矛 が出土したのです。
銅剣、銅鐸、銅矛などの青銅器は、約2000年前の弥生時代に、祭りの道具として使われていたものです。
しかし、1か所からこれほど大量にみつかるのは、全国で初めてのことです。
さらに3種類の青銅器がまとまってみつかったのも、ここ以外に例がありません。
これらの発見により、農道の建設計画は変更されることとなり、
昭和62年(1987)には、このあたり一帯(約1.3ha)が国の史跡として保存されることになりました。
また、平成8年(1996)の10月には、近くの加茂岩倉遺跡(雲南市)で39個の銅鐸が出土しました。
約3.5kmしか離れていない荒神谷と加茂岩倉の関連は?
なぜこれほどの数の青銅器をまとめて埋めたのか?
その謎は今も明らかになっていません。
この現場では、荒神谷遺跡の発当時の状況を復元整備しています。
現地で発掘当時の驚きと感動を味わいながら、2000年前、ここに青銅器を埋めた先人のこころに想いをはせてみてはいかがでしょうか?

・銅剣発掘再現 ── 1984年8月の状況
昭和59年(1984)、谷の斜面から4列に並べて埋めた銅剣がみつかりました。
ここでは、実際の出土地面の上に30センチほど土を盛り、そこに青銅器の模造品を置いて、発掘当時の状況を再現しています。
発見された銅剣は、左から34本、111本、120本、93本の合計358本です。
剣の素材の青銅は、銅に錫(すず)を加えた合金です。製作当初は、このような緑青色(ろくしょういろ)ではなく、金と銀の中間のような光り輝く色でした。
銅剣は本来、短い柄をつけた短剣で、突き刺す武器です。
それが弥生時代の日本では、扁平(へんぺい)で大形になり、マツリの道具として使われるようになります。
荒神谷の銅剣もマツリの道具だったようです。
一方で、銅剣358本のうち348本は、根元部分に「×」印が刻まれていました。
その意味については、埋納(まいのう)した剣の持つ力が逃げないようにするためとの説や、
同じく「×」印が刻まれた銅鐸が出土している加茂岩倉遺跡との関連性などが考えられています。

・銅鐸・銅矛発掘再現 ── 1985年8月の状況
左側の銅剣がみつかった翌年、昭和60年(1985)には、銅鐸6個と銅矛16本が1つの穴の中に埋められた状況で発見されました。
銅鐸(どうたく)は、中に棒をつるして鳴らす道具です。
弥生時代のムラでは、当時としては珍しい金属音がマツリの最中に響きわたったことでしょう。
ここで発見された銅鐸には、荒神谷独特の文様や形のものもある一方、他の地域で出土した銅鐸と同じ型でつくられたものもありました。
このことから、弥生時代に広域的な交流があったことがわかります。
銅矛(どうほ)は、もともとは柄をつけて槍のように使った武器ですが、
ここにあるものは、刃幅が広くて大きく、根元の穴には鋳型の土が詰まったままで、柄を差しこむこともできません。
また、刃の部分に光をうけると独特の反射をする研ぎ分け(とぎわけ)をしたものもあります。
初めから武器としてではなく、マツリの道具としてつくられたことがわかります。
銅矛は九州北部を中心に中四国からも出土し、銅鐸は近畿地方を中心に東海まで広く出土していますが、
この2種類が同じ場所でみつかったのは、ここ荒神谷だけです。

・三輪玉(みわだま)と倭風大刀
奈良県の三輪山周辺で多く出土したことから、この名前がついたといわれます。
「玉」となっていますが、穴はなく、くぼみに糸をかけ、大刀(たち)の柄(つか)についた勾金(まがりかね)の装飾として使われました。
水晶製のほかにも金銅製や碧玉などの素材で作られたものがあります。
三輪玉が見つかった斐川町西遺跡群では、108 cmにもなる県内屈指の長さの大刀が副葬されていました。
この大刀の柄を装着する茎(なかこ)部分には、コの字の切り込みがあることから、
サーベル状に柄にベルトの付いた倭風大刀(わふうたち)であることが分かっています。

・蛇行剣
── 古代の信仰「蛇と龍」 ──
クネクネと動く蛇のような形をしている鉄剣を蛇行剣(だこうけん)と呼びます。
関東地方以西に分布がみられ、斐川町内の結11号墳から出土していますが、南九州地方や近畿地方に分布の中心があります。
みつかっているのが古墳や地下式横穴墓など墓の副葬品に限られていることから、
この剣は日常生活に使用されたものではないと考えられます。
今では忌み嫌われることの多い蛇ですが、古来より、蛇は龍とともに世界各地で信仰を集めてきたことが知られています。
特に蛇は、その生命力の強さや脱皮を繰り返すことから、再生・新生を願う対象となり、
中国をはじめとする東アジア地域のさまざまな遺物に蛇の表現がみられます。
日本でも縄文土器や弥生土器、さらには銅鐸の文様などに描かれているだけでなく、
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を代表として神話の中にも数多く登場しており、
古代の日本人の意識の中で、蛇に対する信仰が深かったことがわかります。
蛇行剣の原型となるものは、日本では古墳時代以前の出土品にはみられません。
5世紀代以降に中国で広まった蛇や龍への信仰の表現が、日本では首長の威厳を示す蛇行状の武器として用いられたと考えられます。

・呪符木簡「急々如律令」
陰陽道で活躍する安倍晴明を知っていますか?映画などで、「急々如律令!」と唱える場面が有名ですが、小野遺跡から見つかった木簡に「急々如律令」(きゅうきゅうにょりつりょう)と書かれていました。もともと中国の公文書の書止めに使われる文句ですが、日本に渡った際に、魔除けを行う場面などで「早々に退散せよ」と悪鬼を払う呪文になったといわれています。
この木簡は、中世の田んぼに埋まっていたため、朽ちずに残っていました。
小野遺跡の近くにある稲城遺跡でも呪符木簡は見つかっており、災厄除けのお願いが込められているのでしょう。






















